2026年3月25日、オンラインで開催されたワークショップに参加しました。
主催は中央大学ビジネススクールの露木恵美子先生。
テーマは「見えない関係性を可視化する——チームBaワークショップ」。
露木先生とは以前、
オランダで開催されたSilence of Voiceというイベントでお会いしたことがあります。
場の現象学を専門とされ、
組織や職場における「場」の質を研究されている方です。
今回のワークショップには中央大学の卒業生を中心に30名以上が参加されていました。
そもそも「場」とは何か
ワークショップの中で印象的だったのは、「場」という言葉の定義でした。
場とは、単に物理的な空間ではありません。
人と人との関係性、その場に流れる文脈、暗黙の期待、そういったものすべてを含む概念です。
「場が盛り上がる」「場が白ける」「場違い」
日本語にはこの感覚を表す言葉が豊富にあります。
それは日本人が古くから「場」に敏感だったからかもしれません。
創造性と効率性は逆を向いている
セッションの中で特に腑に落ちたのは、
創造性と効率性の関係についての話でした。
創造性はムラ(多様性)やムダ(何に役立つかまだわからないこと)から生まれます。
一方で効率性は、ムラとムダを徹底的に排除することで生まれます。
つまり、生産性を上げることは効率性を上げることには直結しますが、
創造性を上げることには必ずしも結びつきません。
オランダに住んでいる私には、
日本の「働き方改革」が効率化一辺倒に見えることが多いです。
テレワーク導入で交通費や光熱費が削減され、
利益率の見かけが改善される。
でもその裏側で、廊下での立ち話や、仕事後の一杯が消えていきました。
それは本当に「改革」だったのでしょうか。
コンステレーション——関係性を図にする
ワークショップのメインコンテンツの一つが、
「紙面上のコンステレーション」という手法でした。
コンステレーションとは星座の配置を意味する言葉で、
CRR Global JapanのORSCプログラムに由来する手法です。
やり方はシンプルで、紙に円を描いて自分を中心に置き、
チームメンバーを関係性の近さや遠さに応じて配置していくものです。
線の種類でつながりの強弱や対立も表現できます(出典:CRR Global Japan ORSC®プログラム)。
これを描いてみると、言葉にする前に「見えてくる」ものがあります。
私自身の図を見ていると、
「ここが詰まっている」「ここはもっと流れているはずなのに」
という感覚が浮かんできました。
そしてそこから「自分に何ができるか」を考える問いへと自然につながっていきました。
コーチとして気づいたこと
私は普段、
エグゼクティブや組織のトップとの対話を通じて「場を整える」ことを仕事の中心に置いてきました。
今回のワークショップを経て改めて気づいたのは、
「誰もが場に貢献できる」という事実の重さです。
現場で観察すること、傾聴と対話を実践すること、周囲を巻き込んでいくこと。
これらは職位やロールに関係なく、誰でもできます。
一方で、トップがまず「対話の必要性」に気づくことの影響力も大きいです。
トップの姿勢が変われば、組織全体の「場」の質が変わります。
その意味で、エグゼクティブコーチングと組織開発は切り離せないと改めて感じました。
最後に
露木先生の著書『現象学入門』には、こんな視点があります。
著書の中で先生は、言葉やデータでやりとりしているように見えても、
その背景には身体で感じている世界が常にあると述べています。
職場で「なぜ噛み合わないのか」と感じるとき、
それは言葉ではなく、身体レベルの違和感かもしれません。
対話はその違和感を言葉にする作業です。
時間はかかります。
でもその時間こそが、職場を耕す田おこしになると思っています。
人と人との出会いからしか、創造性は生まれません。
その出会いは、毎日隣に座っている人との間にも、まだあります。
参考:
- 露木恵美子先生ワークショップ:https://ba-phenomenology20260325.peatix.com/
- 著書:『現象学入門』中央大学出版部
鈴木なお|エグゼクティブコーチ(オランダ・アムステルフェーン在住) 海外駐在・越境キャリアのサポート、エグゼクティブコーチングを提供しています。 初回相談は無料。お気軽にご連絡ください。
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